当選確実とは、選挙において開票完了前でも確実に当選するであろうとされる状況のことであり、当確とも略されます。
あなたも、選挙の際に、まだ開票が終わっていないのに、投票終了後にいきなり当選確実という報道が出て不思議に思ったことはありませんか?
この記事では、当確とはどういう意味なのか、どのような仕組みでどうやって決定されるのか、外れることはないのかなどについてわかりやすく解説していきます。
目次
選挙の当選確実・当確とは?

当選確実とは、選挙において開票が完了する前でも確実に当選するであろうと見込まれることを指します。
当確と略されることも多いですね。
特に、投票が締め切られた直後に当確を出すことを、ゼロ打ち、もしくはゼロ時打ちと言ったりもします。多くの選挙は投票が20時で締め切られるので、20時で当選確実となる状況を不思議に思ったことがある人も多いのではないでしょうか。
これに付随して、「票数がここに達すれば当選は確実だろう」という得票数のことを当確ラインと呼ぶこともあります。
なお、当確は報道機関などが独自に出す指標であり、確定した開票結果である当選と違い、選挙管理委員会などの公的機関による発表ではないので、勘違いしないように注意しましょう。
当確はどうやって出すの?

当確は、報道各社などがそれぞれの調査と分析によって票読みを行い、打ち出されます。
各社で様々な方法が取り入れられていますが、代表的な票読みの根拠とされるものが下記のものです。
これらの方法をもとに、各社で統計的に候補者の当選確率について計算し、ほぼ確実であると言えた段階で公表しています。それぞれの方法について、簡単に内容を見ていきましょう。
出口調査や世論調査
当日投票所や期日前投票所の出口で、投票を済ませた人に投票先や支持政党などを尋ねる出口調査は、多くの報道機関が行っています。ほとんどの報道機関はタブレットで選択肢に回答していく形式で、一部は質問紙への手書きでの調査です。
Youth Vote! HIROSHIMAでも、投票所の出口にて10代・20代の投票者に対して投票意識調査を実施しており、確実に投票した人の意見を重複が無いように集められる方法です。
また、世論調査はランダムに対象者を選び、電話や路上などで、同じく支持政党や投票先などを訪ねます。
なお、世論調査は、選挙中以外も実施されており、内閣支持率などの調査結果を目にしたことがある人も多いでしょう。
これらの調査方法で集めたサンプルを統計的に分析し、票読みの材料としています。
各所での情勢取材
選挙前から選挙中にかけて、多くの報道機関が、選挙情勢についての取材を行い、票読みの参考としています。
例えば、候補者や政党の事務所や関係者に取材したり、街頭演説や演説会の盛り上がりなどを取材することで、各候補者を取り巻く温度感などを見て、勢いの有無などを計算に入れています。
開票現場での束読み
投票受付時間が終了したあとも、開票現場でも情報を集めるために報道各社は動いています。
開票現場では、各候補の得票となった投票用紙がそれぞれ分けて積まれるため、カメラや双眼鏡などを用いてどの候補者にどれだけの得票が集まっていそうかを、報道関係者用のエリアから確認し、集計担当者に連絡をするという方法もその1つです。
投票用紙の束が山になっている様子を観察することから、束読み・山読みなどと呼ばれることもあります。
また、開票現場では開票作業が進むに連れ、途中経過が断続的に張り出されます。これを真っ先に確認し、当確の判断材料にするという方法も重要となっています。
過去の得票数や組織票など
同じ選挙で、過去には誰がどのくらいの得票数だったのかというデータも、票読みにおいて重要な指標となります。
また、どの地域ではどのような企業や団体が有り、いずれかの候補者に一定数の組織票が見込まれるなどという要素も、最終的な当落に大きく関わる要素として無視できない数字の1つです。
【事例】当確が外れることはないのか

報道各社は、当確を出す際には慎重に、間違いのないように最新の注意を払っています。
しかし、なるべく早く、正確な情報をという2つの要素に挟まれた結果、当確の報道が外れるという結果も起こります。
当確の報道がひっくり返る結果となった最近の事例が、2024年に行われた沖縄県議会議員選挙です。
この選挙では、共同通信社が当確とした候補者が落選となり、読売新聞によればこの誤報を掲載した記事は約20紙に上りました。
結果として、当時の共同通信社の編集長らは懲戒処分になっています。
広島で起こった投票行動にも関わりうる誤報

実は、広島でも最近、当確の誤報がありました。しかもこの誤報が出されたのが、投票受付時間中であったため、非常に問題視されました。
この誤報があったのは、2021年に行われた参議院広島選挙区の再選挙です。いわゆる河井事件とも呼ばれる大規模買収事件で無効となった2019年の参院選を受けての再選挙で、覚えている人も多いのではないでしょうか。
この選挙において、毎日新聞は、投開票日である4月25日の投票終了時刻の20時よりも前である、同日19時23分頃から約3分間、立候補者であった無所属の宮口治子氏と自民党の西田英範氏の両名をそれぞれ当確として2本の記事を公開しました。
毎日新聞は担当者の操作ミスによる事案であったと発表し、社内で気づいたために記事を削除したうえで謝罪をしています。
投票が行われている時間帯ということで、「この記事を見て、他の候補者に投票予定だった人が、この記事を見て投票に行くのをやめるかもしれない」などと投票行動に影響する可能性を問題視する声もありました。
当確の意味を理解して、開票速報を一緒に楽しみましょう
疑問に思う人は多いけれど、実際にどういうしくみなのかよくわからない、という人が多いのが選挙に関連する用語。当確もその1つですよね。
当確がどういうものなのかを知っておくことで、当確が出るタイミングなどにも着目しながら、より開票速報を見るのが楽しみになるはずです。
合わせて、按分票などについても知っておくことでもっと見方が変わるかもしれませんね!詳しくは下記の記事で解説しています。
選挙で得票数に小数点を生む按分票とは?計算方法や具体例も。
もしも他にも何か知りたいことがあればぜひコメントをSNSやコンタクトフォームからお寄せください!
当確とは、当選確実の略です。 選挙において、開票完了前に特定の候補者の当選が確実だろうと言える状況を指し、報道機関などが各々の判断から発信します。 当確は、報道各社が様々な調査と分析から判断します。 判断材料としては、当日投票所及び期日前投票所での出口調査や、電話などでの世論調査、開票現場での束読みや過去の得票数のデータなどが挙げられます。 前提として、報道各社は選挙報道に置いて細心の注意を払っており、これは当確の発表も同じです。 しかし、過去には当確の報道後に結果がひっくり返り、当確からの落選となることもあります。 最近では、2024年の沖縄県議会議員選挙において、共同通信社の報道による当確後落選となった候補者が出たという事案があります。よくある質問
当確とは?
当確が出る仕組みは?
当確が外れることもあるの?