せっかく選挙で投票したのに、その1票が無効票になってしまう。そんな事態は避けたいですよね。
また、投票したい候補がいないけれど、白票を投じるという選択肢の意味がよくわからないという人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、どんな場合に無効票になってしまうのか。無効票になった場合はどう扱われるのか。そういった無効票とはどういうものなのかをこの記事で解説します。
目次
選挙で無効票になる例は?
選挙で無効票になってしまう例として、大きく分けてこちらの8パターンが挙げられます。
- 所定の投票用紙を用いない票
- 候補者でないものの名前を書いた票
- 複数人の候補者の名前を書いた票
- 候補者の名前以外に他事を書いた票
- 候補者の名前を自書していない票
- どの候補者の氏名を書いたのか確認できない票
- 単に雑事を記載した票
- 白票(白紙投票)
それぞれの例について、画像とともに確認していきましょう。
1.所定の投票用紙を用いない票
投票所では、専用の投票用紙が用意されています。
有権者1人につき1票という正確な投票事務を行うために、投票所に入場したタイミングで発行する形です。
そのため、メモ用紙などを持ち込んで投票した場合は無効票として扱われます。
2.候補者でない者の名前を書いた票
選挙では、立候補している候補者もしくは政党の中から投票先を選ぶことになります。
そのため、実際に立候補している候補者や政党以外の名前を記載すると、無効票となってしまうため注意しましょう。
3.複数人の候補者の名前を書いた票
選挙では、投票用紙1枚につき1候補のみに投票ができます。そのため、どの候補にしようか迷ったとしても、複数人の名前を書くのではなく、必ず1人だけの名前を記載しましょう。
複数人の名前を書いても、0.5票ずつの分配などにはならず、無効票となるため、結果的には誰にも投票できていないことになります。
複数の選挙が同時に行われている場合でも、各選挙にそれぞれ1枚ずつ専用の投票用紙が用意されているため、間違わないように注意しましょう。
4.候補者の名前以外に他事を書いた票(他事記載)
投票用紙には、投票先の候補の名前だけを記載しましょう。
「頑張れ!」と言った応援メッセージや、「さんへ」「候補に」のような宛先を示すような文言をつけた場合、無効票として扱われる可能性があるので注意が必要です。
なお、「さん」「候補」のような敬称については、以下の通り公職選挙法第68条六項にて認められています。
衆議院名簿届出政党等の第八十六条の二第一項の規定による届出に係る名称及び略称のほか、他事を記載したもの。ただし、本部の所在地、代表者の氏名又は敬称の類を記入したものは、この限りでない。
もちろん、投票用紙に落書きもしてはいけません。
5.候補者の名前を自書していない票
候補者の名前は、必ず投票用紙に自筆で記載する必要があります。
そのため、たとえ名前を間違えないためであっても、ゴム印やシールなどを作成して持参及び使用した場合には無効票となってしまいます。
6.どの候補者の氏名を書いたのか確認できない票
投票用紙に記入をする際には、名角煮どの候補者に投票したのかがわかるように記載しましょう。
開票作業で誰への投票なのか判別できない場合、無効票として扱われてしまいます。
7.単に雑事を記載した票
投票用紙は、投票先の候補者の名前を記載して投票するためだけに使用しましょう。
単に落書きや意見などを記載しても、その内容が何らかの形で活かされることはありません。
8.白票(白紙投票)
投票用紙に何も記入しないで投票することを、白紙投票もしくは白票を投じると表現します。
この白紙投票も、当然誰に投票したのかは判別できない為無効票として扱われることになります。
なぜわざわざ投票所に行って白紙投票をするのかという点については、次の項で深堀りしていきましょう。
選挙でわざと無効票・白票を投じる意味
わざわざ投票所に足を運んでまで、なぜ白票を投じるのかと疑問を抱く人も多いかもしれませんね。実際に、「白票を投じることは無意味だ」という言説もよく見かけます。
白票を投じることの背景には、「投票したい立候補者がいないけれど、政治参加しないわけではない」という考えが多いとされています。
そもそもの仕組みとして、白票や無効票は特定の候補の得票にはなりませんが、投票行動として投票率や投票数には計上されます。
もちろん投票区域や年代別の投票率にも計上されるため、投票先さえ決まればその候補に投票する、という有権者がどの属性でどのくらい居るのかが政治家にも見えるようになるわけです。
そのため、政党や立候補者にとっては、白紙投票を行った有権者層が、単に投票に行かない場合と比べて軽視しづらくなると考えられます。
このことから、白票を投じることにも一定の意味があると言えるわけですね。
無効票にならない投票用紙の書き方
せっかく特定の候補に投じた票が無効票にならないように、投票用紙の正しい記入方法をおさらいしておきましょう。
投票用紙の正しい記入法は難しいものではなく、以下の点を踏まえて投票すれば問題ありません。
- 所定の投票用紙にその場で記入する。
- どの候補・政党に対する投票かわかるように記入する。
- 1枚の投票用紙には1つの投票先のみを記入する。
言い換えれば、無効票となる条件を避ける形で投票すれば問題ありません。
また、投票の際に名前を書き間違えてしまうと、場合によっては按分票になったり、無効票になる場合があります。
逆に、例えば「佐藤太郎」さんへの投票で「佐藤犬郎」と記載した場合などは、他に名前の似た候補がいなければ「おそらくこれは佐藤太郎」さんへの投票だろう、と判断されて佐藤太郎さんに1票が数えられることもあります。
これらは場合によりますが、極力間違えないように記載をしましょう。
誰の票かわからないけど、無効票にならないケースも
無効票になってしまう条件として、どの候補・政党に対する投票なのかが明確でない場合があると説明してきました。
しかし、一部の場合では、誰に対する投票なのかが特定できなくても、有効な投票として扱われる場合があります。
例えば、同じ選挙に「石丸」さんという名字の候補者が2人立候補していた場合、「石丸」と書いて投票すると、どちらの石丸さんに投票したのかが判別できませんよね。
このような場合は、得票率に応じて2人の石丸さんに票が分配されることになります。
この票の分配を、按分票といいます。
按分票については、計算方法なども含めて以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください!
選挙で得票数に小数点を生む按分票とは?計算方法や具体例も。
白票が多かった選挙の事例
最後に、おまけとして実際に白票が多く投じられた選挙の事例について触れていきます。
自治体によって、無効票の内訳が公表されている場合と公表されていない場合がありますが、公表されている中でも白票が目立ったのが、2017年の衆議院議員選挙における大阪市の小選挙区です。
このとき大阪市内の小選挙区では、無効票が55,877票(無効投票率5.37%)に対して、白票が35,696票と、無効票のうち過半数の約63.9%が白票という結果が出ています。
参考:大阪市大阪市選挙管理委員会:平成29年10月22日執行 衆議院議員総選挙の結果しらべ (選挙の記録)
白票などの無効票も選択肢の1つだけど、ベストな候補者選びを!
せっかく投票所まで出向いて投票したのに、無効票になってしまったらもったいないですよね。ぜひ正しい投票方法を確認して、あなたの選んだ候補者にしっかりと1票を投じてください!
また、白票を投じることも無意味ではないという内容にも触れましたが、あなたの考えにある候補者がいれば、その候補者に投票することが大切です。
ぜひ、選挙の際には候補者の情報を調べて、あなたの考えに合う候補者を探してみてくださいね。
この記事で解説した無効票については、Instagramでも図やイラストを交えてわかりやすく解説しています。文章を読むよりもパッと内容を確認したいという人は、ぜひInstagramをご覧ください!
よくある質問
無効票になる例は?
無効票になってしまう投票の例は、以下の通りです。
- 所定の投票用紙を用いない票
- 候補者でないものの名前を書いた票
- 複数人の候補者の名前を書いた票
- 候補者の名前以外に他事を書いた票
- 候補者の名前を自書していない票
- どの候補者の氏名を書いたのか確認できない票
- 単に雑事を記載した票
- 白票(白紙投票)
白票を投じる意味は?
白票を投じた場合、特定の候補者や政党の得票にはなりませんが、投票率には計上されます。
そのため、どの属性の有権者が何人規模で白票を投じたのか、政治家に対して可視化することが可能です。
これにより、投票したい候補がいない場合でも、政治参加をしている有権者として候補者や政党が無視・軽視しにくくなります。
場合によっては、次回選挙で白票を投じた有権者層のための政策を公約として掲げる候補者が現れることにも繋がる可能性があるでしょう。
無効票にならない投票用紙の記入方法は?
無効票にならないための投票用紙の記入方法として、以下の点に気をつけましょう。
- 所定の投票用紙にその場で記入する。
- どの候補・政党に対する投票かわかるように記入する。
- 1枚の投票用紙には1つの投票先のみを記入する。