不在者投票って、あまり聞きなじみのない言葉ですよね。どういう制度なのかよく知らないという人も多いのではないでしょうか。
そんな不在者投票ですが、実は進学などで住民票とは別の場所に住んでいる人や、新生活を始めた人にとっては非常に便利な制度なんです!少し複雑で知名度も高くない制度ですが、特に若い人には知っておいて損はないはず。
そこでこの記事では、不在者投票とはなにか、やり方や対象者、期間や注意点などをまとめて解説します。広島の現状についても最後にまとめているのでぜひ読んでみてください!
目次
不在者投票とは
そもそも不在者投票ってなに?という人も多いかと思います。不在者投票とは、端的に言うと選挙区にいなくても投票ができる制度です。
基本的に、皆さんが投票できる選挙は、住民票の置かれている土地で行われている選挙だけになります。というのも、住民票に基づいて選挙人名簿という名簿が作られ、この名簿に載っている人に選挙権が与えられるためです。
しかし、進学や出張などで選挙のタイミングで住民票があるのとは別の地域にいる場合、投票のためだけに一度住民票のある場所に戻るのは大変ですよね。
そんな不具合を改善するための制度が不在者投票というわけです。
そもそも選挙区というのがよくわからない!という人は、以下の記事で選挙区制についてわかりやすく解説しているのでぜひ読んでみてください!
不在者投票の対象者は大学生など
まずは、不在者投票の対象は誰なのかについて見ていきましょう。対象となるのは、大きく分けて以下に当てはまる人たちです。
- 住民票とは別の場所に住んでいて帰宅が困難
- 住民票を移してから3か月未満
- 指定施設に入院・入所している
1つ目の「住民票とは別の場所に住んでいて帰宅が困難」な人というのは、実家などに住民票を置いたままで選挙区外に住んでいる人のことを指します。例えば、進学に伴い親元を離れて下宿している大学生や、長期にわたる単身赴任などの人が該当します。
2つ目の「住民票を移してから3か月未満」という条件は、意外と知らない人が多いので注意が必要です。引っ越しを済ませていても、この期間は引っ越し前の選挙区の選挙人名簿に名前が載っているので、その地域での投票になります。
これには、選挙のたびに特定の候補を応援するために引っ越して投票、等という不正を防ぐ等の意味があります。
3つ目は「指定施設に入院・入所している」というのは、特定の病院や介護施設などに入院または入所している場合を指します。その施設内で投票ができるので、投票に行くのが難しい人のための配慮といえますね。
不在者投票のやり方とは?
続いて、不在者投票のやり方を順を追って見ていきましょう。手順は以下の3段階です。
- 不在者投票宣誓書兼請求書の記入と郵送
- 投票用紙などの書類が書留で届く
- 届いた書類を持って不在者投票所へ
詳しい流れを解説していきますね。
1.不在者投票宣誓書兼請求書の記入と郵送
不在者投票を行う際にまずやるべきことは、不在者投票のための投票用紙の請求です。
請求のためには、不在者投票宣誓書兼請求書という書類に必要事項を記入し、選挙人名簿のある地域の選挙管理委員会に郵送もしくは持参する必要があります。
この不在者投票宣誓書兼請求書は、以下の方法で入手できます。
- 直接市役所などの選挙管理委員会の窓口に出向く
- 選挙人名簿のある地域の選挙管理委員会のホームページからダウンロード
実際は、遠方にいて直接出向くことが難しい状況がほとんどでしょう。そのため、ホームページからダウンロードして印刷・記入し、郵送する形が中心かと思われます。
広島市などの一部自治体では、自治体の電子申請システムからオンラインで直接請求できる場合もあるので、調べてみるといいでしょう。広島市の電子申請システムについては、以下の広島市のHPをご覧ください。
広島市電子申請サービス – 電子行政サービス|広島市公式ホームページ
2.投票用紙などの書類が書留で届く
不在者投票の請求が完了すると、選挙人名簿のある地域の選挙管理委員会から指定した住所宛に書留で書類が届きます。書類の中身は以下の通りです。
- 不在者投票用紙
- 不在者投票用封筒
- 不在者投票証明書(封筒に入っています)
この段階でいくつか注意点があります。
- 書留なので受け取りに本人確認が必要
- 書類は届いた状態そのままにする
まず、書留は受け取りの際に本人確認が必要です。配達時に不在の場合、不在票が入っているはずなので、郵便局に早めに取りに行きましょう。
また、投票用紙に記入をしたり、不在者投票証明書を開封すると、無効になってしまうので、書類がそろっていることの確認だけでとどめておきましょう。
3.届いた書類をもって不在者投票所へ
書類が届いたら、それらすべてをもって不在者投票所へ向かいましょう。不在者投票所で書類の確認を受けたのちにその場で投票用紙に記入し、提出することになります。
不在者投票所は、不在者投票を行う地域の不在者投票責任者(選挙管理委員会の委員長)が定めており、主に市役所などが該当します。期日前投票所などでも投票できることがありますので、その地域の選挙管理員会のHPを見たり、問い合わせたりして確認してみてください。
なお、広島県内のほとんどの自治体では市役所やその出張所などが対象となっています。
不在者投票所で提出した投票用紙は、投票先の選挙管理委員会に郵送されてから確認を受けて投票完了となります。そのため、郵送期間を考えて余裕をもって不在者投票に行きましょう。投票日の5日前くらいが安心できる日程ですね。
また、指定施設に入院・入所している人はその施設で不在者投票ができます。
不在者投票の期間はいつからいつまで?
不在者投票の期間について、請求期間と投票期間の2点を見ていきましょう。
まず、不在者投票の請求については、告示日(公示日)の数日前から投票日前日まで可能となっています。
続いて、不在者投票の投票については、告示日(公示日)の翌日から投票日前日までという日程です。
なお、これらの期間については〆切は必着となっています。特に、投票の期日については、直前になってしまうと投票をした選挙管理員会から投票先の選挙管理委員会への郵送が間に合わない可能性も考えられます。
そのため、期日に余裕をもって請求や投票を行うように心がけましょう。3~5日程度余裕を持っていれば安心ですね。
不在者投票の注意点!間に合わない可能性も?
ここまでに各所で触れてきましたが、改めて不在者投票の注意点をまとめて確認しておきましょう。注意点は以下の3点です。
- 早めの行動を心がけよう
- 住民票を移しても3か月以内は不在者投票
- 書留を受け取るには本人確認が必要
それぞれ見ていきましょう。
早めの行動を心がけよう
不在者投票をする場合は、請求と投票のどちらも期間に余裕をもって早めの行動を心がけましょう。
手順の中に郵送が含まれるので、思っていたよりも時間がかかってしまった、ということも起こる可能性があります。
投票した選挙管理委員会から投票先の選挙管理委員会への郵送の際に、少しでも期限を過ぎてしまうと無効票になってしまいます。
住民票を移しても3か月以内は不在者投票
引っ越しの際に住民票を移動していても、3か月経過するまでは引っ越し前の土地の選挙人名簿に名前が載っています。
意外と知らない人や忘れている人が多いので、投票しようと思っていたけれど選挙期間になって投票できないとわかった、などということに繋がりかねません。
引っ越し後に、投票のためだけに引っ越し前の地域に戻るのはあまり現実的ではないですよね。不在者投票という選択肢があることを頭の片隅に留めておきましょう。
書留を受け取るには本人確認が必要
投票用紙などの書類は、書留で郵送されます。書留は受け取りの際に本人確認が必要なので、留守にすることが多い人は気を付けましょう。
特に学生や若い世代だと、あまり書留を利用した経験が無いという人も多いと思いますので、見逃しがちなポイントです。
不在の際には、宅配などと同じで不在票がポストに入っているはずなので、なるべく早めに郵便局に受け取りに行きましょう。この受け取りにかかる時間も考えて、余裕を持った行動が大切ですね。
広島の不在者投票事情は?
広島での不在者投票についてもまとめておきますね。
まずは広島での不在者投票の実施状況についてです。先日行われた2022年の参議院選挙では広島市に選挙権のある人のうち、選挙区では3,813人、比例では3,812人が利用していたそうです。
広島の不在者投票宣誓書兼請求書の入手方法
広島県内に選挙権がある場合の不在者投票宣誓書兼請求書の入手方法についておさらいしていきましょう。
まず、広島県内の自治体のほとんどで、その地域の選挙管理委員会のHPから不在者投票宣誓書兼請求書の様式がダウンロード可能です。これをダウンロードして印刷し、記入の後に郵送する流れが多そうですね。
また、広島市の場合は市の電子申請システムから、オンラインでの請求が可能です。郵送の時間や手間を考えると、広島市内に選挙権がある人はこちらを活用するといいでしょう。
広島市電子申請サービス – 電子行政サービス|広島市公式ホームページ
広島の不在者投票ができる場所は?
続いては、広島県外に選挙権がある人が広島で不在者投票をする場合についてです。
広島県内では、多くの地域で市役所やその出張所などで不在者投票を行えます。そのため、投票用紙等の書類が届いたらこれらの場所に向かうとよいでしょう。
直前にその地域の選挙管理委員会のHPを見たり、直接問い合わせて確認してみるのが確実です。
あなたの票が無駄にならないよう不在者投票を
不在者投票の仕組みについて、参考になりましたでしょうか?
筆者も大学の知人から、住民票を移していないから投票しない、という言葉を耳にしたことが何度もあります。
わざわざ投票だけのために帰省したりするのは現実的ではないですが、だからといってそれを理由に1票を投じる権利を捨ててしまうのももったいないですよね。ぜひ不在者投票を活用してみてください!
もしも他にも何か知りたいことがあればぜひコメントをSNSやコンタクトフォームからお寄せください!
よくある質問
不在者投票のやり方は?
不在者投票のやり方は、「投票用紙の請求」「書留で受け取り」「不在者投票所で投票」という流れになります。
投票用紙の請求はオンラインもしくは郵送、直接窓口で行うことができます。
郵送期間を考慮して早めに行動するように注意しましょう。
不在者投票は何時から何時まで?
不在者投票の請求は、告示日(公示日)の数日前から投票日前日まで可能です。また、不在者投票の投票は、告示日(公示日)翌日から投票日前日までとなっています。
郵送の期間を想定すると、締め切り直前では間に合わない可能性があるので早めに行動しましょう。
特に、投票については投票する場所の選挙管理委員会から、投票先の選挙管理委員会に郵送する過程も含めての必着となりますので、注意が必要です。
不在者投票で必要なものは?
不在者投票をする際には、投票用紙等の書留で届いた書類の一式が必要です。
具体的には、「不在者投票用紙」「不在者投票用封筒」「不在者投票証明書(封筒に入っています)」になります。
不在者投票所で確認を受ける前に、投票用紙に記入していたり、不在者投票証明書を開封していると無効になってしまうので注意しましょう。