今回は、東広島市議会の落海直哉議員にインタビュー。
政治に関心を持ったきっかけや、教育に対する思い、波乱万丈な経歴などについてお話しいただきました。
目次
1980年、広島県竹原市生まれ。県立忠海高校から日本文理大学を卒業後、京都や広島での選挙の手伝いなどを経験。その後は参議院議員秘書を経て民間企業勤務・労働組合設立に携わる。取材時現在、東広島市議1期目。落海 直哉
夢がなかった学生時代、恩師との出会いから政治に関心
将来の夢って大体みんな、子どものころから持ってるじゃないですか。スポーツ選手とか。僕はそれがなかったんです。
なので、流れで普通科高校に進学し、学校の先生に進められた大学に進学しました。そのまま大学に入ってからも、自分が何になりたい、というのがなかったんですよね。
転機となったのは、大学3年のゼミ選択でした。経済学部だったのですが、ゼミ紹介を教授たちがする中で、1人だけ政治の話をしていた先生がいたんですね。
そのお話を聞いて面白そうだとすごく興味が湧きました。そこで、その教授のゼミに配属となりました。それが、政治に初めて関心を持った瞬間ですね。
もともと、誰に聞いたわけでもないですが、政治というのはなんだか汚いイメージだったんです。しかし、ゼミで先生のお話を聞くうちに政治にしかできないことがあることを知りました。仕組みを創るのが政治だと学んだんです。
今思えば、当時は小泉元首相が出始めてきた時期で、世間が政治で湧いていたんですよね。僕は学生ながらに年金の話題に興味を持ったんです。「え、将来自分は年金もらえないかもしれないの?」といった具合で。
そんな中で、何かの形で自分も政治に関わりたいと思うようになりました。
政治の世界に飛び込んだきっかけはタイミング
政治家のもとでインターンシップなどを経験しながら、大学4年生にもなると進路について考えないといけなくなりました。
教授に進路の相談をしていたんですが、ちょうど京都で地方選挙があるとのことで、教授の紹介で選挙の手伝いに行ったんです。その後、広島や京都で選挙のお手伝いをしたのち、京都で参議院議員の秘書を2年ほど経験しました。
そして、25歳になって広島で地方選挙に出ようと思ったんです。でも、選挙に出るにはやはりコストがかかる。周囲から、「政治の世界しか知らないと、社会の役に立たない」と言われて広島で職探しを始めました。
そんな中で広島で選挙をお手伝いした際のご縁で今勤めている会社に入社しました。この会社では、選挙を通じて多くの人と出会い、沢山のことを学び、経験していたこともあり労働組合の結成などにも携わっています。
ここまでだと、「あれ、東広島市議になったのはなぜ?」と思われるかもしれませんね。
自分の子ども世代は大丈夫なのかと
2009年に当時の民主党が自民党を破って、政権交代が起こったじゃないですか。その時、僕はこれでいいかなと思ったんです。
というのも、僕は二大政党制っていうのが健全だと思っているんです。若い方々は自民党内でトップが入れ替わりながら政治が回っている印象があるかもしれませんが、複数の政党が浄化作用としてある状態がベストなのかなと。
ただ、実際には野党が大敗して自民党一強の時代になりましたね。これがきっかけで、何かしないといけないという火が再燃したんです。
ちょうど僕は結婚して子どもも授かり、この子達の世代は大丈夫なのかなと。
夢を 持てるのか?どんな未来になっていくのか?自分を生んで、育ててくれた親や、自分がこの 先向かう高齢者の世代が安全で安心な生活は送れるのか…。不満や不安がたくさんあると感じたんです。こんな現実は根本的におかしいと声を挙げなきゃと思って、2019年に市議会選挙に出馬しました。
ここで何もしないままで、年を取ってから「あの時は…。」というのはかっこ悪い、絶対後悔すると思ったんですね。
結果は落選だったのですが、予想に反してかなり僅差での落選だったんです。周りからも頑張れ、あきらめるなと言ってもらったこともあり、前回の補欠選挙に再挑戦して当選させて頂きました。
僕は偽善者かもしれない
僕は、自分は偽善者かもしれないと思うんですよね。行動する原理が「誰かのために」やりたいなので。
子どものころ、「勉強しなさい、あなたのためでしょ。」とよく言われませんでしたか?僕はあれが響かなかったんです。結局損するのも得するのも自分ならまあいいかなって。
自分のために何かやりたいとかではなく、困っている人がいるならその人のために何かしようって思うんです。
困っている人がいて、助ける人・助けられる人がいないなら自分が何か手助けしたい、やってやろうという感じ。だから、僕は特に教育等の分野を公約として掲げて立候補したのですが、インフラや経済などの他の課題にも困っている人がいる以上は全力で取り組んでいます。
困っている人を助けるのが政治ではないのか
よく子どものいる保護者さんたちに言われることがあります。それは、「子育てするなら東広島」って少なからず子育てしやすいと思っている方がいる反面、子育てがしにくいと思っておられる方もいらっしゃるということです。
「育児って大変」というお言葉を頂く機会も多いのですが、保護者さんたちは楽がしたいからそう言ってるわけではないんですよね。
本当に大変だから、ちょっとだけ息抜きがしたいということなんです。虐待のニュースを見ながら、自分もそうならないか怖いという方もいらっしゃいます。
しかし、議会でも質問しているのですが、産後ケアのシステムがあるけれど使いづらかったり、待機児童問題があったりと。そういう問題が根強くあるんですよ。
じゃあどこに問題があるのかっていうところで、保育士さんの数・リソースというのは大きいんです。どこも人が足りていない。
どう対処しようかと考えたときに目につくのが、東広島市はデジタル化・DX化というのが先進都市よりもまだまだ進んでいない部分があるように思うんです。
人間には限界があるじゃないですか。じゃあ、そこを技術で補えるように予算を使っていく、そういった意見をしていく事が政治の仕事ではないのでしょうか。
AI の技術を利用してカメラのような形で子どもの危険を察知しやすくしたりとか、そういう技術を導入できれば保育士さんの負担が減って、その分子どもの面倒がより見られる余裕が生まれるんじゃないかと。
幼稚園バスで子どもが亡くなる事件が後を絶ちませんが、例えばセンサーで子どもが残ってないか確認するとかできると思うんですよね。チェックリストの項目を増やしたり、マンパワーで確認するといった対処フローを増やし続けてもパンクしてしまうと思うんです。
政治の役割って色々あると思いますが、困っている人や弱い立場にある人を護る為に税金を集めてカバーするという役目もその1つだと思うんです。
特に子育てというのは、将来を担う世代に直結すること。ここで躊躇していると、町の未来は先細りしてしまうんです。
「若い世代は投票に行かないから、そんなことばかりやっていると次の選挙が危ない」という言葉をいただくこともあります。でも、困っている人がいるなら助けるのが僕らのやるべきことなんですよ。
若い世代の人たちへ – 声を聞きたいんです
若い方へのメッセージというよりはお願いなのですが、「教えてほしい」というのが本音です。
今、若い世代の方が亡くなる原因で一番多いのが自殺とされていますよね。その選択肢しか ない背景には、不安、うつ、絶望など多くの要因があるんだろうなと考えています。しかし、恥ずかしながら僕にはそれが何なのかわからないというのも事実なんです。
僕より若い、未来がある人たちに自殺だけはしてほしくないと思うんです。
目の前に何か不安など多くの要因があるかもしれないけど、その先には明るい未来があるはずなんです。政治家として、また一人の親としても、それを阻む闇は取り除きたいと思っています。
もちろんそれだけに限らず、政治に対して、まちに対して思ってることをどんどん教えてほしいです。
声を挙げてもらえるようにどうすればいいのかは手探りなのですが、できる限りのことを考え、行動します。
また、最後にはなるんですが、少しでも政治に興味を持ってもらえたら。まずは選挙へ行く一歩を踏み出してほしい。
インタビュアーより
今回落海さんへのインタビューを通して、「自分は偽善者かもしれないと思っている」など、ここまで聞いてしまって大丈夫なのかという衝撃が大きかったです。
皆さんの中にも、政治家はキレイな言葉・強い言葉ばかり使うというイメージの方が多いのではないでしょうか?1時間半のインタビューを通して、飾らない言葉でのお話がとても印象的でした。
また、Youth Vote! HIROSHIMAについても、「SNSや街頭演説を頑張っているけれど、実は苦手。僕は市民の代弁者だけど、さらにその代弁・発信をしてくれてありがたい」と。
私たちYouth Vote! HIROSHIMAもより一層頑張らないといけないなと再認識させて頂いた機会になりました!
Youth Vote! HIROSHIMAのインタビュー
Youth Vote! HIROSHIMAでは、以下の2つの目的で政治や選挙の現場に携わる方々にインタビューを実施しています。
- 政治・選挙の現場のリアルを伝えるため
- 政治や選挙に対してのハードルを下げるため
詳細や実施方法、インタビュイー募集については、以下のページをご覧ください。
Youth Vote! HIROSHIMAのインタビューとは
また、他のインタビュー記事については以下をご覧ください!
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