今回は、海田町議会の兼山益大議員にインタビュー。
議員になった意外な経緯や、政治家・個人としての裏表のないポリシーについてのお話を聞かせて頂きました。
兼山 益大
1972年、広島県安芸郡海田町生まれ。県立広島商業高校から大阪体育大学を卒業後、会社員・中学保健体育講師を経て、2009年に海田町議会議員選挙に出馬し当選。取材時現在、海田町長選挙への立候補を経て海田町議4期目。接骨院経営。2021年の選挙では唯一1,000票越えでのトップ当選を果たしている。
議員になったきっかけはめぐり合わせ
なぜ議員になろうと思ったのか?というのは、こういったインタビュー以外でも普段からよく聞かれますね。この質問に答える際には「めぐり合わせ」という表現をよく使います。
というのも、私は元々、政治家を志していたわけではないんです。人の役に立てるといいな、という思いはありましたが、政治の道に進もうなんてことを考えたことはありませんでした。というか、そう考えたことがある人の方が少ないですよね。
実際、学生時代は教員を志し、卒業後には一般企業に就職して広島を離れていました。
ではなぜ選挙に出たのか、という話ですが、単純に言えばきっかけをいただいたからです。
海田町の前町長をされていた山岡さんという方がいらっしゃるのですが、私は海田生まれ海田育ち、息子さんと同じ小学校ということもあり、元々交流があったんですね。
その山岡前町長に、議員選挙に出てみないかとお声かけを頂いたんです。人の役に立ちたいのなら、地元のために働ける仕事だぞということでお話をいただきました。
それまで政治家になるなんて考えたこともなかったわけですから、とても驚きましたし、悩みましたね。けれど、私の生まれ育った町にはたくさんの困っている人がいて、手助けできる可能性が目の前にあるということで、立候補することを決意したんです。
なので、もし皆さんも選挙に出るとか、出る人の応援をするとかの話があればぜひチャレンジを検討してみてください。別に高貴な生まれでなければ選挙に関わるな、というような敷居の高いものではないんです。気持ちが、覚悟ができるかという話なんですね。
とにかく実直に、誠実に頑張るということ
初選挙で当選させて頂いてから、当然議会に出るわけですが、最初はわからないことだらけでした。特に建築やインフラなどは、その分野に従事した経験がなかったために何を言っているのかすぐにはわからず、人に訊いたり調べたりの毎日でしたね。
もちろん、本来は議員になる前にこういったことを勉強しておくべきなんです。しかし、大変失礼ながら私はそれができていませんでした。
当時は役場の職員さんたちも、とにかくわかりやすい言葉を使って説明をしてくれて、今思うととても苦労をかけていたと思います。
議員の本分というのは、わかりやすいところでは住民の要望に応えることというのがあります。そしてもう1つ、まちの行政で使用される予算について、その使い方を審議し、賛成もしくは反対によって本当に住民の方のために税金が使われるようにするというのも私たち議員の重要な職務です。
この2つはどちらもとても大切なことなんですね。同時にその経緯や展望などを住民のみなさんにご説明することも私たちの重要な仕事です。これらを全うするためには、議員は多くの知識が必要なのは何となく想像できますよね。
そのため、私はとにかく勉強勉強の毎日です。要望や問題があれば現場に足を運びましたし、FP(ファイナンシャルプランナー)や宅建士(宅地建物取引士)の資格も、議員になってから取得したものです。
初当選時は36歳で、40代以上の方が多い中で伸びしろだけは他の人には負けない、という思いでひたすら勉強したというのもあります。勉強するほどに、議場での話や役場での話、町のみなさんの要望などの解像度が上がっていくのを感じていましたね。
とにかく町のみなさんのために自分にできることを片っ端からやっていくという姿勢は今も変わっていません。
犠牲は生まず、皆で良くなりたい
政治家とはこういうものだ、などと言う気はありませんが、政治家としての、というよりも私個人としてのスタンスとして、「自利利他円満」という言葉が座右の銘です。
仏教の言葉らしいのですが、大まかに言うと、自分も含めてみんなで良くなっていけたらいいなという意味だと捉えています。
誰かのために何かをする、というときに自己犠牲のもとに奉仕する、というポーズをとるのが苦手なんですよね。本当の意味で自己犠牲のもとに動いている方もいるでしょうし、それは立派だと思うんです。
ただ、「私は○○をして差し上げた」と声高らかにアピールするのは、それを知ってもらうことによって自分に何かが返ってくることを期待しているのではないかと思っています。少なくとも、そう見えますよね。だって、本当に本心から誰かのために奉仕しているのであれば、アピールしないで自分の中にしまっておけばいいですから。
私の場合は、もちろん議員として町の皆さんのため、「利他」で働いているわけですが、同時にお礼を言われたりして嬉しかったりという「自利」もある訳です。そもそも、活動の対価として議員報酬も頂いていますしね。
自己犠牲も含めて誰かに犠牲を強いたり、あるいは犠牲になっているようなアピールをするのではなく、町のみなさんも自分も含めて、皆で良くなっていけたらいいなという「自利利他円満」の思いで活動をしています。
若い皆さんへ – 選挙も楽しまないともったいない
これは何も若い皆さんに限ったことではないのですが、選挙に行かないのってもったいないと思うんですよね。せっかく盛り上がれる機会なんですから。
ただ、一方である意味では関心が湧きにくいのも仕方ないとは思います。だって、投票した結果というものに魅力が感じられないでしょうから。
固い言葉を使えば当事者意識みたいな話ですが、わからないなりにでも投票をしてみれば、1年後くらいにふと見たら「私が投票した人、いい感じだな」「なんだこいつは。投票するんじゃなかった」みたいな感情が生まれると思うんですよ。
もっと言えば、投票したらなんだかんだで気になって情報を多少見るようになると思うんです。「あれ、選挙中は街頭で頑張ってたから投票したけど、選挙中だけじゃん」みたいな感じだったりね。
ある意味、無料でリアルな人間観察ができるわけですよ。そう思ったらちょっとは楽しめるかなと思いますよ。
例えば、何か公共事業をする際に、「1人当たり1,000円の負担です」と言われても、そこまで実感はない人が多いでしょう。でも、「1人当たり1,000円の負担です。財布から現金で支払いに来てもらいます」となれば、本当に必要な事業なのかと考えますよね。
そういう、リアルな実感というのが大事だと思っています。
少し話がそれますが、私は海田町が投票率7割を超えるような街になればいいと思って活動しています。今って、3割の人が地域の動きを決めてるんですよ。
投票率が上がれば、それだけいろんな人の意見が町に届くことになるんです。例え少数の意見でも、その意見を代表する議員が1人でもいれば、その人が動いてくれるんですよ。
仮に代表者が落選しても、選挙結果は数字が出るんです。「これだけの人数がこう思ってる」と示せば、無視できなくなるはずなんです。
だから、こういうメディアを通して、何となくでもいいから投票に行く人が増えてくれたらいいなという思いで今回、インタビューを受けさせて頂きました。選挙に出たり、投票に行ったりといろんな形で政治参加してくれる若い人が増えてくれることを願っています。
インタビュアーより
今回インタビューさせて頂いて、率直に感じた部分としては「議員になってからも勉強するんだ」という驚きでした。議会で居眠りしている姿などが報道される中で、選挙に通れば終わり、みたいな人も多いのかなという印象を持っている人は他にも多いのではないでしょうか。
また、投票してみれば興味は湧くし、自分が投票しないでも政治が勝手に動いていく状態では興味に行きつかない人も多いのかもしれない、というのも共感させて頂きました。
まずは選挙に行ってみようかな、と思える状態になればいいな、その助けになれるようにYouth Vote! HIROSHIMAも頑張らないとな、と改めて感じた取材でした。
Youth Vote! HIROSHIMAのインタビュー
Youth Vote! HIROSHIMAでは、以下の2つの目的で政治や選挙の現場に携わる方々にインタビューを実施しています。
- 政治・選挙の現場のリアルを伝えるため
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